泌尿・生殖器の病気
2008年03月07日
尿路結石
尿路(腎臓、膀胱、尿道、尿管)のどこかに結石(尿石)が出来る病気です。
その殆んどは膀胱と尿道で起り、雌では膀胱結石、雄では尿道結石が多く見られます。
原因結石の種類(成分)は何種類かありますが、殆んどはストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)かシュウ酸カルシウム です。
これらの結石が出来る原因も、結石の種類によって違います。
・細菌感染
膀胱内で細菌が繁殖して起こる膀胱炎が原因の1つとなります。細菌感染によって尿がアルカリ性になって、ストルバイト結石が出来やすくなります。犬の尿路結石の約7割を占めます。
・食餌・水に含まれる物質
カルシウム、マグネシウム、リン、尿酸、ケイ酸などのミネラル分を多く含む食餌や水を摂取しすぎることでストルバイト、シュウ酸カルシウムの結石が出来やすくなります。
すでに感染症などによる炎症があると、尿中のタンパクや細菌とこれらの物質が結合しやすくなります。
飲水量の減少
飲水量の減少で尿の量や回数が減ることで、尿の成分の濃縮により結石が出来やすくなります。
さらに、膀胱内でアルカリを生産する細菌が増殖すると尿のpHが上昇(アルカリ性になる)して結石の原因になりやすくなります。
遺伝的要因
犬種によっては遺伝的な内分泌、代謝の異常で結石ができやすい場合があります。 ダルメシアンは遺伝的に尿酸の代謝が悪いため、多くの場合に尿酸結石が出来てしまいます。また、シーズーはストルバイト、シュウ酸カルシウムともに出来やすく、シュナウザーもシーズーに次いでよく結石のできる犬種です。
症状頻尿や1回に出る尿量が減る、血尿、尿漏れ、尿の臭いがきつくなるなどの症状がみられます。排尿時に痛がったり、陰部を気にしてしきりに舐めたりします。
しかし、排尿障害の症状が特にあらわれず、尿毒症をおこすこともあります。
特に、尿管結石や尿道結石は痛みが強いようです。
尿が全く出ない場合は、結石がどこかに詰まっている可能性があり、2日以内に閉塞部位を解除しなければ、膀胱破裂や腎不全に陥って命に関わることもあります。
雄では雌よりも尿道が狭く長いため、尿道に結石が詰まって重症状態に発展することが多いようです。また、雌犬でも稀に結石が詰まってしまうこともあります。
治療法尿検査、血液検査の他、超音波検査、レントゲン検査で結石の有無を診断します。
治療方法は、結石の種類や大きさによって異なります。
・ストルバイトの場合
専用の処方食のよる食餌療法で、尿中のアンモニウム、マグネシウム、リン酸の濃度を下げ、尿を酸性化することで結石を溶かします。同時に、細菌感染がある場合は、抗生物質や抗炎症剤を投与します。
結石が溶けにくく大きい場合や、尿道カテーテルで開通できない尿道閉塞の場合は、外科手術による摘出が必要なこともあります。。
シュウ酸カルシウムの場合
シュウ酸カルシウムの結石は、一度出来てしまうと溶解出来ないので、外科手術をして結石を取り除く必要があります。
予防法確実に予防する方法はありませんので、定期的に尿検査を受け、早期発見に努めましょう。
結石ができやすい体質(発症履歴のある犬)の場合、再発しやすいので食餌療法を続けることが大切です。
また、冬季は飲水量が減るので、発生しやすい時期と言えます。
2008年03月06日
膀胱炎
膀胱炎は、何らかの細菌が膀胱に感染することで発症する尿路感染症です。
犬や猫だけでなく人間の病気としても一般的で、泌尿器系の病気のなかでもっとも多い病気といわれています。
原因原因としては、細菌感染によるものが最も多く、他に結石や腫瘍、外傷などによって発症します。
・細菌感染
細菌感染による発症は、尿道が短く太い雌犬に多くみられます。
尿道から入った細菌が膀胱に感染して、炎症を起こします。長時間トイレを我慢している、飲水量が少ない、下痢や皮膚病など他の疾病のストレスが蓄積していると言ったことが誘引となっていることもあります。
一般的に、雄は前立腺が細菌感染に対する防御機能を果たしていて、雌より発症しにくいといわれています。
・尿路結石
尿結石による発症は、尿中の成分が結晶化してチクチクと膀胱を刺激して炎症を起こしたり、さらに大きな結石となって尿路中に留まることが原因で起きます。野菜を常食する食習慣が尿路結石症の一因として考えられています。
また、犬の尿結石は細菌感染が引き金になっている事も多いようです。
その他、外傷や腫瘍の発生によって膀胱が傷つけられて起きる場合もあります。
症状膀胱炎を発症すると、水をたくさん飲む、トイレの回数が増える、1回の尿の猟が少ない、血尿、食欲や元気がなくなる、発熱といった症状が出ます。
また、違和感や痛みがあるため、陰部をしきりに舐めるなどの行動が見られます。
結石が原因の膀胱炎の場合、結石によって尿路が詰まってしまう危険を伴います。雌より尿道が細い雄では、この尿路閉塞に十分な注意が必要にです。
治療法まず、尿検査と共に膀胱のX線検査や超音波検査を行って、結石や腫瘍が無いかを確認します。
細菌感染の場合は、原因となっている細菌に対応した抗生物質や合成抗菌薬を用いた内科的療法が施されます(尿検査結果で正常になったことを確認出来るまで続けます)。炎症が慢性化している場合は、完治しにくく、根気よく治療を続けることが大切です。
結石が見つかった場合は、食事療法を行ったり外科的に取り除いたりします。
腫瘍の場合は、その腫瘍にあわせた治療を行います。
予防法膀胱炎は予防するのが難しい病気です。
発見が遅れがちで見つかったときにはすでに慢性化しているケースが多いため、早期発見と早期治療が大切です。
2008年03月05日
陰睾(潜在精巣)
雄の生殖器である精巣は、産まれたばかりの時はお腹の中にあり約30日位で定位置である陰嚢内(タマタマの袋)に降りてきます。
この精巣が、1つもしくは2つとも降りてこないことを、陰睾または潜在精巣といいます。
原因原因としては、精巣下降に関与する性ホルモンの不足や鼠径管(精巣下降の通路)の形成不全などがありますが、これは劣性遺伝のためと考えられています。
症状陰睾があっても、健康状態は正常であることがほとんどです。
しかし、精巣が腹腔内(お腹の中)や鼠径部(内股の部分)に留まっている状態だと、体温と同程度に温められるため、精子形成にとっては障害となります。両側性の場合は生殖能力を失ってしまいますし、片側だけの場合は生殖能力はありますが遺伝防止のため繁殖させるべきではありません。
また、この状態の精巣は高齢になった時に腫瘍化しやすく(正常な精巣の13倍位というデータもあります)、特にセルトリノーマ、セミノーマといった腫瘍になりやすいと言われています。
その場合は腹が膨らんできたり、食欲や元気の低下がみられます。腫瘍の種類によっては、腫瘍細胞から過剰なホルモンが分泌されるために、脱毛や皮膚炎を起こします。また、腫瘍が重症化してから気が付いた場合は、転移して死に至る事もあります。
治療法健康診断(視診や触診)で発見されます。
生後8ヶ月経っても精巣が陰嚢内におりていなければ、他の生殖器の病気の予防のためにも去勢手術をするのが一般的です。
手術の時点で腫瘍化していなければ予後は良好ですが、腫瘍化している場合はその腫瘍の悪性度や軽重よって様々です。腫瘍の種類については、摘出後に病理検査で確定診断がされます。
予防法陰嚢であることがわかった場合は、他の病気の予防のためにも去勢手術を受けましょう。
また、遺伝が原因とされている病気ですので、このような子を増やさないためには繁殖に用いないことが重要です。
2008年02月29日
肛門嚢炎
スカンクが敵に襲われた時にクサイ臭いを放つことは有名ですが、犬の肛門の左右にもスカンク同様に、クサイ分泌物を出す臭腺があります。
肛門嚢炎(のうえん)は、肛門腺というクサイ分泌物が貯まる肛門嚢という袋が、細菌の感染などにより炎症を起こす病気です。
原因肛門腺とは、臭腺と呼ばれる場所から出るクサイ臭いのする分泌液のことです。犬や猫は、排便時に便と一緒に肛門腺を出すことによって、テリトリーに自分のニオイ付けをします(興奮した時に出ることもあります)。
この肛門腺は、肛門の左右(時計の4時と8時位の場所)にある肛門嚢と呼ばれる袋状のところに貯まっています。
肛門嚢炎は、何らかの原因で肛門嚢が細菌感染を起こすことで発症します。
肛門嚢の導管がなんらかの原因で閉塞したり(肛門腺がドロッとした子だと詰まりやすい)、肛門括約筋の力が弱くて肛門腺を絞り出せない場合など、肛門嚢にたまった分泌液が排出されずに膨らんでいって、細菌感染・炎症を起こし易くなります。
慢性的に軟便な子や、下痢をしている場合など、肛門周りが汚いと起りやすいと言われています。
また、肛門括約筋などの筋肉の緊張力が低下しやすい、小型犬や肥満犬でもよく見られます。
症状炎症を起こすと、お尻をかゆがって床にこすりつける、肛門周囲を舐めたり噛んだりする、しっぽを追うような動作をする、便秘になるなどの症状が現れます。
さらに症状が悪化すると発熱・食欲低下などの症状が現れ、肛門周囲が赤く腫れて痛みも激しくなり、酷い時には腫れが破裂して、破けたところから出血や膿のようなものが出てきます。
治療法症状が初期で軽いものならば、定期的に肛門嚢を絞り内部にたまった分泌物を排出するだけで症状が改善することも多いようです。少し症状が進んでいる場合は、化膿止めの抗生物質の内服や、肛門周囲の消毒も併用します。
しかし腫れがひどく化膿している場合は、患部を切開して膿を出し、洗浄・消毒したうえで縫合して、細い管を挿入して分泌物の排せつを促す治療を行います。
肛門嚢炎は再発を繰り返し易いため、肛門嚢ごと摘出してしまう手術が必要な場合も少なくありません。
なお、肛門嚢は切除しても生活に問題はありません。
予防法犬によって肛門腺が貯まり易い子、あまり貯まらない子がいますが(大型犬などは、自分で上手く排出してくれたりします)、予防のためには1ヶ月に1回位、シャンプーの時などに肛門腺を絞ってあげましょう。
普段から肛門周辺をよく観察しておくと、肛門嚢が腫れたり、肛門周囲腺が腫瘍化したりしても、初期の段階で発見出来て治療することができます。
2008年02月28日
前立腺肥大
前立腺は、雄の膀胱の後方にある副生殖腺で、アルカリ性の前立腺液を分泌しています。
この前立腺の病気で一番多いのが、前立腺肥大です。犬種を問わず、去勢していない雄犬は、加齢と共に発症しやすくなります。
原因前立腺は、精巣で作られるホルモンと密接に関係しています。
前立腺肥大は、老化によって精巣の働きが衰えることによって、ホルモンのバランスが崩れることで発症します。
去勢をしていない雄犬(6歳位〜)に多く見られ、加齢と共に発症し易くなります。症状が現れていなくても、高齢犬の半数以上に前立腺の肥大があるといわれています。
症状前立腺肥大を発症すると、前立腺が次第に肥大します。
初期段階では無症状のこともありますが、徐々に前立腺が肥大していくにつれて、周囲にある臓器を圧迫して様々な症状が見られるようになります。
主な症状としては、まず尿道や膀胱が圧迫されるために尿が出にくくなる、血尿が出るなどの症状が現れます。完全に排尿が出来なくなると全身状態の悪化から生命に危険が及ぶ事もあります。
肥大が進行すると、腸管が圧迫されて便秘になったり、便が出ないのにウンウンきばっている回数ばかり多くなったりします。こうした場合は、会陰ヘルニアを起こすこともあります(犬をお尻のほうから見て、肛門の下辺り一帯を会陰部と呼びます)。
治療法治療として効果的なのは、外科的療法です。
去勢手術を行うことで、殆んどの場合は治癒します。肥大がかなり進行している場合は、前立腺の摘出手術をすることもあります。
肥大が軽く、無症状または症状が軽いうちは、食餌療法やホルモン剤などを使用した内科的療法もありますが、この場合は治っても再発の恐れがあります。
予防法ホルモンや年齢との関与が深い病気なので、去勢手術をしておくことで予防が期待できます。病気になってから、あるいは高齢になってから去勢するのではなく、病気予防のためにも、早い時期に去勢手術をすることをお勧めします。
去勢を行わずに老齢期を迎えた犬の場合は、日頃から排便・排尿時に異常がないか気にしてあげましょう。
2008年02月12日
子宮蓄膿症
避妊手術を受けていない中高年齢期の雌犬に多い病気です。
外陰部から分泌物(膿)が出てくる開放型と、出てこない閉鎖型があります。
原因子宮蓄膿症は、大腸菌などの細菌が雌犬の膣から子宮内に侵入して異常繁殖し、炎症がひどくなって化膿し、子宮内に膿が溜まってしまう病気です。
性成熟した雌犬には、一定のサイクルで性(発情)周期がありますが、排卵が起こる発情期の終了後数週間から2〜3ヶ月の間、牝犬の体は雌犬の精子を受け入れやすくするために、免疫機能が低下します。また、子宮でも受精卵が着床・発育しやすいように、動きが静かになり、受精卵を守るために、子宮の入口が閉じられます。
このため、この時期に大腸菌などの細菌が膣から子宮に侵入すれば、細菌が発育増殖しやすくなってしまいます。
避妊手術を受けていない犬で、妊娠・出産の経験がなく、ホルモンバランスが悪い場合には子宮内で細菌感染が起こりやすくなります。卵巣や子宮の腫瘍によって、ホルモンバランスを崩した場合も同様です。特に、高齢で体の免疫機能が低下している場合は要注意です。
なお、細菌が子宮内膜に感染し、炎症を起こす病気を「子宮内膜炎」、感染症が悪化して化膿し、子宮内に膿がたまる症状を「子宮蓄膿症」といいます。
症状子宮に膿が溜まるため、お腹が膨らんできます。また、水をたくさん飲むようになり、尿量も増えます。病原菌の毒素が体に回って嘔吐や下痢、食欲不振になったりして、ぐったりしてしまう場合もあります。
症状が悪化すると、膨らんだ子宮が破裂して、膿が腹腔内に飛び散り腹膜炎を起こしたり、病原菌の毒素が体中に回ってひどい腎臓障害や多臓器不全、敗血症を引き起こして死に至ることもあります。
外陰部から分泌物(膿)が出てくる開放型と、出てこない閉鎖型がありますが、閉鎖型の場合は診断が遅れて症状が悪化して手遅れとなってしまう場合もあります。
治療法治療には、外科的治療と内科的治療があります。
点滴によって体の状態を改善し、早期に卵巣子宮摘出術を実施する外科的治療法が最も確実な方法です。
症状が急に悪化すると手遅れになってしまうので、出来るだけ早く症状を発見し、外科的治療を行うことが大切です。特に、閉鎖型の場合は子宮内に膿がたまる一方なので、いつ子宮が破裂して、膿が腹腔内に飛び散るか分かりません。
内科的治療では、投薬により細菌の働きを抑えたり、子宮の収縮を活発にさせて膿を排せつさせたりします。
しかし、このような対症療法では細菌を根絶させることは難しく、治癒しても再発する可能性がありますし、副作用の心配もあります。また、閉鎖性の子宮蓄膿症ではあまり効果が期待できないといわれています。
予防法避妊手術(子宮卵巣摘出術)にて予防する事ができます。
避妊手術をしていない場合は、普段から陰部の清潔を心がけることが大切です(特に、発情期から黄体期の二か月間ほど)。







