消化器・肝臓・腎臓の病気
2008年03月12日
慢性腎不全
腎不全は障害を受けた腎臓の機能が低下する病気で、とくに腎臓の75%以上が機能しなくなる状態をいいます。病気の進み方や症状によって、急性腎不全と慢性腎不全があります。
慢性腎不全は数年以上にわたり徐々に進行していき、様々な障害を引き起こすようになります。
原因慢性腎不全は、何らかの原因で血液をろ過して尿を作るネフロンという器官に障害が生じること発症します。腎機能の障害は、時間をかけて徐々に広がり慢性化していきます。
主な原因は、老化や様々な腎臓の病気(腎炎、先天性腎形成不全、慢性糸球体腎炎、間質性腎炎、水腎症など)と考えられていますが、はっきりとした原因が不明な場合もあります。
また、急性腎不全が慢性腎不全に移行することもあります。
症状慢性腎不全は、かなり障害の範囲が広がってくるまで無症状です。
病気が進行してくると、次第に薄い尿を大量に出す、喉が渇いて水をたくさん飲むなどの症状が現れます。さらに悪化すると、嘔吐、食欲不振、痩せてくる、貧血といった症状が出てきます。末期になると尿毒症となって、嘔吐を繰り返す、下痢、ぐったりして寝てばかりいるなどの症状が強く現れるようになり、痙攣などの神経症状が出る場合もあります。
腎臓は本来、75%を切り取ってしまっても残った25%が機能していれば生きていくことに問題はありません。とすると、症状が出始めた時点で、きちんと機能している部分がもうあまり残っていないという事です。
治療法血液検査で窒素化合物、カリウム、カルシウム、リンなどの濃度を調べます。
一度慢性腎不全になると、腎臓が再びもと状態に戻ることはありません。そのため、病気の進行を遅らせると同時に、残っている腎機能を維持するための治療を行います。そのため、長期間の継続的な治療が必要です。
脱水、心不全、電解質異常、感染症が見られたときには輸液(点滴)療法、抗生物質の投与などを行います。また、症状に応じてタンパク同化ホルモン、カルシウム剤を投与します。
他の病気の合併症として腎不全を発症した場合は、併せて原因となった病気の治療を行います。
また、食餌療法として高カロリー、低タンパク、低ナトリウムの食事を与えるようにします。
予防法腎不全を予防するには、たんぱく質や塩分の量が適切で、栄養バランスのとれた食事を与えるようにしましょう。
また、初期では症状が現れない病気ですので、少なくとも年に1度は動物病院へ連れて行き血液検査や尿検査を受けることで、早期発見を心がけましょう。
2008年03月11日
急性腎不全
腎不全は障害を受けた腎臓の機能が低下する病気で、とくに腎臓の75%以上が機能しなくなる状態をいいます。病気の進み方や症状によって、急性腎不全と慢性腎不全があります。
原因急性腎不全の原因は、大きく3種類に分けられます。
・腎前性腎不全
大量の出血、下痢、ショック、やけど、心不全などで体液の喪失が起きて腎臓へ流れる血液量が少なくなることで、尿の生成をする腎臓の働きが低下して起こります。
・腎性腎不全
腎臓病(腎盂腎炎、急性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群など)などによって、腎臓そのものに障害が生じることで起こります。
・腎後性腎不全
尿路結石症などの尿路(尿道、膀胱、尿管など)の障害によって、尿が出なくなることで起こります。
犬の急性腎不全では、尿路結石症によって尿路が閉塞され排泄障害が起きる腎後性のものが圧倒的に多いようです。
症状急性腎不全にかかると嘔吐、元気がなくなる、尿の量が減る、尿が出なくなる、食欲不振、脱水状態になるなどの症状がみられます。
また、腎臓の働きが悪くなることで有害物質が尿と一緒に体外に排出されなくなり、血液中に老廃物が溜まって尿毒症を引き起こすことがあります。
尿毒症をひきおこすと、けいれんなどの神経症状が出ます。
急速な状態の悪化によって死に至る場合もあります。
治療法血液検査、尿検査等を行って原因を探り、それぞれの原因を取り除く治療を施します。
脱水症状を起こしていることが多いので、点滴によって水分を補い、体内に溜まった過剰な老廃物を排泄させます。点滴の効果があまり見られない場合は、尿を多く作り出す薬や、腎臓への血流を増やす薬を投与します。
感染症が原因となっている場合は、抗生物質の投与を行います。
食事療法が必要とされる場合もあります。
急性腎不全の場合、急速な状態の悪化によって死に至る場合もありますので、早急に治療を行うことが大事です。
予防法たんぱく質や塩分の過剰な摂取は避け、栄養バランスのとれた食事を与えるようにしましょう。
2008年03月10日
胆石
胆嚢の内に胆汁成分が変質して結晶化したもの(胆石)や、泥状になったもの(胆泥)が出来る病気です。
もともと犬では発生頻度も低く、発見されにくいのですが、超音波検査や血液化学検査の進歩に伴って以前より見つかることが多くなってきました。
原因肝臓で作られた胆汁は、肝内胆管から集まって胆嚢に一時的に貯蔵されます。
この胆汁が、クッシング症や甲状腺機能低下症などの内分泌異常や胆嚢炎(細菌感染や腸炎・膵炎・肝炎からの併発で発症することが多い)が引き金となって成分が変化して胆石や胆泥が出来ます。
胆嚢炎が起きると胆汁の性状が変化し、胆嚢内でカルシウム成分が結晶化し胆石となったり、本来はサラサラの胆汁がネバネバして泥状になったりします。
人間の胆石は過分なコレステロールが結晶化したものが多いのですが、犬は胆汁中のコレステロールを溶解させておく能力が高いためこれはあまり見られず、殆んどがカルシウム塩です。
症状胆石や胆泥が出来ただけであれば無症状のまま経過することが多いため、犬がX線検査や超音波検査などを受けた際に偶然発見されることが多いようです。
しかし、胆嚢炎が悪化したり、胆道が胆石や胆泥によって塞がれたり(総胆管閉塞症)すると、元気や食欲がなくなる、嘔吐、体重減少などが見られ、さらに重症の場合には黄疸が現れます。また、胆嚢内や総胆管にできた結石が移動することによって胆道を刺激した場合には、犬は背中を丸めて腹痛を訴えます。
総胆管閉塞症となった場合、胆汁を十二指腸に分泌することが出来なくなり、消化不良や胆汁色素の不足のために、ウンチが白っぽくなったりします。また、胆汁が排泄されないため、肝臓内やさらには全身に胆汁が溜まってしまい、進行すると体が黄色くなる「閉塞性黄疸」を起こします。同時に胆嚢自体も腫れてきます。
最悪の場合には、胆嚢が破裂して腹腔内が汚染され、臓器が傷つき、腹膜炎を起こすこともあります。
治療法早期に発見されまだ無症状の場合や病態が比較的軽度な場合であれば、抗生物質や胆汁の分泌を促進する利胆剤を投与する内科的治療で様子を見る場合もあります。しかし、コレステロール結石と違い、カルシウム塩の場合は内科的治療で結石を溶かすことは期待できません。
内科的治療に反応が悪い場合や重症例では、外科的治療を行います。
この場合、胆嚢内・総胆管内の胆石や胆泥のみを取り出して胆嚢を残す方法もありますが、胆嚢炎の根本的な治療とはならず、再発予防の可能性もあるので、胆嚢ごと切除摘出するのが一般的です(胆嚢は胆汁を一時的に蓄えておく器官であり、切除してもあまり問題はありません)。
予防法子犬の時から適切な食事や運動、健康管理を行って、消化管の病気や肝臓の病気などにかかりにくい体質を保つことが大切です。
その他、内分泌異常があると発症しやすくなるので、もしそのような疾患があれば早めに治療します。
すでに胆嚢炎である場合、胆嚢炎に対する抗生物質療法と低タンパク食、低コレステロール食を中心とした食事療法によって結石形成を遅らせることも予防法となります。
2008年03月07日
腸閉塞
愛犬が急に元気が無くなり、嘔吐を繰り返す場合に考えられる病気の一つです。
腸閉塞は緊急疾患です。腸が完全に詰まってしまった場合には、命に関わることもあります。
原因腸閉塞を起こす要因は、幾つかあります。
・異物の誤飲
犬の腸閉塞の多くは、おもちゃやビニール、ひも、布、ティッシュペーパー、木片、石、ボールなどの異物の誤飲が原因で発生します。
犬は、超小型犬から超大型犬まで大きさも様々なため、腸閉塞を起こす異物の種類や大きさも様々です。
神経系統のマヒ
異物の詰まりではなく、腸管のぜん動運動を司る神経系統のマヒにより、腸管内に内容物が溜まって閉塞状況になる場合もあります。
細菌や寄生虫
腸内で異常増殖した細菌が出す毒素で中毒症状になったり、腸管内に大量に寄生した回虫の固まりで腸管が詰まることもあります。
悪性腫瘍
腸管にできた悪性腫瘍(がん)が大きくなることで塞がれてしまったり、リンパ節が腫れることで腸管が圧迫されて腸閉塞になることもあります。
腸ねん転・腸重積
腸ねん転(腸管がねじれないように包んでいる腸管膜が交通事故や打撲等で裂け、その裂け目に腸管が入ってねじれてしまう病気)や、腸重積(腸管の一部が隣り合う腸管に入り込んでしまう病気)を起こした結果腸閉塞になることもあります。
症状腸閉塞の症状は、詰まった場所や閉塞の程度によって差がありますが、主に嘔吐、腹痛、元気や食欲の低下、水の多飲などの症状が現れます。
腸管が完全に閉塞している場合は、脱水症状を起こして、腎臓が正常に働かなくなります。気づかずに治療が遅れると、ショック状態に陥って死に至る場合もあります。
治療法腹部のX線検査(バリウム造影)や、エコー検査などで閉塞部位を特定します。
脱水症状でショック状態に陥っている場合は、まず輸液で不足している水分を補い、その後早急に外科手術によって閉塞の原因を取り除きます。
異物が原因であれば、腸管を切開して異物を取り除き、腸捻転や腸重積ならば元の状態に復元します。腸管自体の損傷が大きい場合は、その部位を切除して縫合します(重症の場合、腸管の半分ほどを切除することもあります)。また、悪性腫瘍が原因の場合は、腫瘍を摘出します。
神経系統のマヒによる場合は、ぜん動運動を促進する薬剤を投与します。症状が軽い場合は内科的療法で直ることもありますが、症状によっては開腹手術によって応急処置を行います。
予防法家庭で出来る予防策としてまず出来ることは、異物誤飲をしないで済む環境を作ってあげることです。
もちろん、異物を飲み込まないようしつけることも大事ですが、まずは愛犬が届く範囲内に危険なものを置かない、目を離すときにはケージに入れるなどを徹底して、危険の排除を心がけましょう。
2008年02月22日
門脈シャント
犬の門脈シャントは、主に先天的に異常な血管があることが原因で、有害物質が体中を循環して、さまざまな障害を引き起こす病気です。
単一性シャント(肝内型、肝外型)と多発性肝外シャントに分類されます。
原因犬の門脈シャントの原因のほとんどは先天性の奇形で、単一性シャント(肝内型、肝外型)と言います。他に、慢性肝疾患によって後天的に引き起こされることもあり、こちらは多発性肝外シャントと言います。
門脈とは、小腸で吸収した栄養素などを肝臓に運んでいる血管で、通常は栄養素とともに吸収されたアンモニアや細菌などの毒素も、この門脈内を通って肝臓に入り無毒化されます。
門脈シャントは、肝臓に行くべき血流が、門脈と全身循環に行く血管の間に出来たシャント(近道という意味)血管により、そのまま心臓へ入ってしまう疾患です。
このため、消化管から吸収された栄養物が肝臓に達しない、有害物質のアンモニア等の毒素が肝臓により濾過、無毒化されない状態で体を廻ってしまうなどの異常が起こります。
症状血中のアンモニアが増加することによって、脳神経に悪影響が出ます(肝性脳症と呼ばれています)。
その症状は、沈鬱、元気消失などの軽度のものから徘徊行動、旋回行動、一時的な盲目、痙攣、昏睡といった重症のものまで様々です。
これらの症状は食後(特に肉類などの高タンパク質の豊富な食事を摂ったあと)にに悪化する傾向があります。
その他の症状には、消化器症状や泌尿器症状があります。
消化器症状としては、食欲不振、下痢、嘔吐などがよくみられます。消火器症状が慢性的に続くと、栄養不良による発育不良や体毛の異常を起こします。
泌尿器症状としては、アンモニアが多量に腎臓から排泄されるために尿酸アンモニウム結石が出来易くなります。この結石が膀胱内に存在あるため、膀胱炎、血尿、頻尿、尿道閉塞などを併発することがあります。
治療法病歴や症状などから門脈シャントが疑われた場合、血液検査、肝臓機能検査、レントゲン検査、尿検査などを実施します。超音波検査、レントゲン門脈造影検査などでにより、シャント血管を探します。
内科的療法として、低タンパク食の給餌、下剤や抗生物質の投与などが行われますが、これらの治療法は対処的なもので原因のシャント血管をなくすものではありません。
完治させるためには、シャント血管の閉鎖手術を受けることが必要となります。ただし、複雑かつ高度な手術なので、大学病院や大病院などの専門医に見てもらうことが必要です。
早期に手術を行った場合、単一性肝外シャントの犬では、約90〜95%の症例で臨床症状の回復が期待できます。肝内性シャントの外科治療法は、そのシャントの部位によって適用する術式が様々であるため、術前の予後判定は困難です。
慢性肝疾患による多発性肝外シャントの外科的治療の目的は、肝臓に門脈血を再循環させて肝臓の機能回復を期待するものです。一般的には約50%の症例で改善が見られます。
一般的に、猫における予後は犬より良くないと言われています。
かかりやすい犬単一性肝外シャントは先天性に小型や猫に多く、犬ではヨークシャーテリア、ミニチュアシュナウザー、シーズー、マルチーズ、ダックスフント、パグなどに多く見られます。
単一性肝内シャントは先天性にラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、アイリッシュ・ウルフハウンドなどの大型犬に多く見られます。
先天性の異常が原因の場合、1〜2歳で発症するケースが多く見られます。
2007年12月19日
胃捻転・胃拡張
コリーやボルゾイ、セッターなど、特に胸が深い大型・超大型犬に多く見られる病気で、食事後などに、なにかの拍子に突然胃全体がねじれてしまい(捻転)胃の入り口と出口が閉じてしまうために、中にガスと胃液が異常に充満して胃が膨満してしまう病気です。
発見・処置が遅れると、数時間で死に至る怖い病気です。
原因胃がねじれる原因は、犬の胃の運動性の問題、食餌の種類や回数、運動などが関係するといわれています。
一度にたくさんのフードを食べたり、大量の水を飲んでお腹が膨れた状態で走ったり激しい運動をすると、大きく膨らんだ胃が入口(噴門)と出口(幽門)を軸に回転することがあり、胃捻転になってしまいます。
また、空気の飲みこみすぎによって起こることもあります。
大型・超大型犬は腹腔が深く、胃の収まる上部腹腔にスペースができやすいために発症しやすいようです。
また、胸の深いタイプの犬が中高齢になると、胃を支える靭帯が伸びてきてしまうため、身体の動きに合わせて体内で胃が動きやすくなって捻転を起こしやすくなってしまいます。
症状胃捻転が起こると、胃は閉じた袋状態になり、胃の中のものの出口が塞がれてしまいます(吐く事も小腸側へ押し出す事もできない)。
その密閉状態のなかで、胃内に住む細菌は胃の内容物を分解して大量のガスを発生させるためにお腹が膨らんできます。
一般的には食後1〜4時間以内に、お腹が膨れる、呼吸困難になる(ゼイゼイと荒い呼吸になる)、吐く(吐きたくても吐けない)、元気がなくなる、食欲が落ちるなどの症状が現れます。
気づかずに放置すると、さらにガスや胃液でどんどん胃が膨らみ、胃拡張となって周辺の血管や脾臓などを圧迫します。その圧迫により血液循環が滞り、周辺の臓器が損傷を受けます。そして、ついにはショック状態を起してしまいます。
治療法胃捻転(胃拡張)は、発見次第すぐに胃を正常な状態に戻す必要があります。
そのためにまず、胃内に挿入したチューブなどによってガスを排出し、その後、ショック状態に陥っている場合は点滴などでショック状態をやわらげてから開腹し、胃を正しい位置に戻すと共に、再発防止のために固定します。
しかし残念なことに、発生後時間が経ち過ぎてしまっていた場合は、すでに血行不良のために周辺臓器の損傷が進んでいて、手術をしても助からないこともあります。
そうならないためには、ちょっとでもお腹が張ったり、吐きたくても吐けない様子がみられたら、様子を見る事はせず(夜間でも)、すぐに病院に連れて行ったください。
予防法1日1回食にはせずに、回数を分けて食事を取らせるようにしましょう(最低でも2回以上)。
また、大型犬や超大型犬が中年期になったら、ドライフードはふやかしてから与えた方が良いようです(ドライフードを食べた後、大量の水を飲むと胃の中でドライフードがふくらむため、胃捻転を起こしやすい状態になります)。
食事直後は運動をさせないようにしましょう。
年を取ったり痩せている子では、消化管を正しい位置に納めておく筋力がない場合も多いですから、激しい運動に限らずただ起きあがっただけ、あるいは通常量の食事を摂ったり、水を飲んだだけでも同様の異常が起きる事があります。
かかりやすい犬ボルゾイ、ジャーマンシェパード、セッター、ドーベルマン、セントバーナード、グレートデン、ボクサー、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、バーニーズマウンテンドッグ等の大型犬や超大型犬、またはコリーなどの胸が深いタイプの犬に特に多くみられますが、中型犬・小型犬に無いわけではありません。
大型犬・超大型犬は3才以降、中型犬・小型犬は5才から6才以降の中年期以降のオスが多いようです。







