心臓の病気
2008年02月22日
動脈管開存症
犬に多い先天性の心臓病です。
猫でも発症例はありますが、犬より少ないようです。
原因動脈管とは、胎子期の子犬の、肺を迂回して肺動脈から大動脈へと血液を運ぶ心臓の血管です。
この動脈管は、出産後に肺呼吸が開始されると必要がなくなるので、通常であれば生後数日で閉じて機能しなくなります。動脈管開存症は、この動脈管が閉じずに残ってしまう状態のことで、先天性心疾患の中では最も発生頻度が高い病気です。
動脈管が閉じずに残ってしまうと、動脈管を介して大動脈から肺動脈への血流が生まれるため、肺血管と左心房に必要以上の負荷がかかります。
肺動脈の線維化が進んだ少数例では、血流が逆に流れることもあります。
症状症状は、軽度の場合は殆んどが無症状で、健康診断の折に心雑音で発見されることが多いようです。また、5〜6歳になるまで無症状で過ごし、その後、呼吸困難や貧血、運動能力低下などの症状があらわれることもあります。
異常が重い場合には、生後1〜2ヶ月で重い呼吸困難や元気の消失、食欲不振などをおこし、発育不全になります。
治療法聴診によって心雑音が確認できます。
さらに、レントゲン、心電図、超音波検査などによって診断が行われます。事例によっては、心臓カテーテル法によって心血管造影が行われる事もあります。
治療は、通常は動脈管を結紮する(しばる)手術や、心臓カテーテルを利用しての動脈管の閉鎖法など、外科的療法が施されます。
手術をした場合、合併症がなければ、健康な犬と変わりない余命が期待できます。2歳未満で動脈管開存症特有の心雑音がある症例は、全て外科手術の適応となりますが、早期に実施した方が手術後の合併症も少ないので、早期発見が大事になります。
手術をしない場合、動脈管の太さや肺血管の血圧によっても違いますが、1年以内に犬の約50%(猫の場合は殆んど)が左心不全で死亡するといわれています。
血流が逆に流れているケースでは、動脈管を閉鎖することによって右心不全が起こって死亡するため、手術は出来ません。その場合は、食事療法や安静療法と言った内科的療法が取られます。血管拡張薬、利尿剤、強心剤などの投薬も並行して行われますが、これらはあくまでも対症的な治療で、根治治療ではありません。
かかりやすい犬症例は様々な犬種でありますが、特にプードル、ポメラニアン、マルチーズ、ヨークシャーテリア、コリー、シェトランド・シープドック、ジャーマン・シェパード、シベリアンハスキーなどに多いといわれています。
雄よりも雌に発生頻度が高いようです。
2008年02月20日
僧帽弁閉鎖不全症
中高齢の小型犬に多くみられる心臓弁膜症です。
犬フィラリア感染症に次いで多い、心臓の疾患です。
原因血液は、心臓の右心房→右心室→肺→左心房→左心室→全身→右心房という順に一方通行で流れています。
僧帽弁とは、このうち肺から酸素を含む血液が還ってくる左心房と、全身に血液を送る左心室との間にある弁(血液の逆流を防ぐ働きをする弁)のことを指します。
僧帽弁閉鎖不全症は、老化や遺伝によってこの弁が機能しなくなることが原因で発症します。僧帽弁がぴったり閉じないと血液は逆流をくり返し、心臓が肥大し、気管を圧迫して、それによって様々な症状が現れます。
マルチーズなどトイ種に多く見られ、遺伝的要素もあるのではないかと考えられています。また他にも、高齢、フィラリアや細菌の感染、ショックなど様々な要因が考えられますが、はっきりした原因はよく分からずに健康診断時に発見されることも多いようです。
症状初期のうちは特に症状がなく、病院での定期診断の折などに発見されます。
病気が進行するにつれて、次第に空咳や、運動を嫌がる、元気がない、食欲不振、呼吸が苦しそう等の症状が見られるようになります。
咳は夜間から朝方に掛けて多く、症状が重くなると呼吸困難になったり、一晩中咳が止まらなくなったりします。
また心臓の働きが低下して、血流が悪くなり、興奮したり運動すると貧血状態になって、足がふらついたり頭が朦朧として倒れたりしやすくなります。
急に不整脈や心不全を引き起こして死に至ることもあります。
治療法聴診して僧帽弁の心雑音を確認することが出来ます。X線や心電図や超音波なども使って精密検査をします。
僧帽弁閉鎖不全症と診断された場合は、病犬の症状に合わせて強心剤、降圧剤、利尿剤などの投与による内科的治療を行います。しかし、これらの薬による治療は、心臓の補助をし症状を緩和するだけで、閉じなくなった弁の状態を元に戻すものではありません。また、症状が軽くなったからといって、かってに投薬を止めると、リバウンドでかえって症状が悪化してしまうこともあります。
酷い呼吸困難を起こしている場合は、酸素吸入が必要になります。
内科的療法を施すと共に、食餌療法として、減塩、低脂肪などの心臓病用の処方食に切り替えていきます。
また、激しい運動や興奮も心臓に負担を掛けます。外で他の犬と出会うと過度に興奮したりする場合は、他の犬たちが少ない時間帯に散歩に出たりする工夫も必要である。
一度発症してしまうと、完治することはありませんので、投薬、食餌療法、運動制限などを生涯にわたって続けていくことが必要となります。
予防法確実な予防法はありません。
トイ種は高齢になるほど発症しやすいと言われているので、定期的な検査で早期発見につとめるようにしましょう。また、肥満は心臓への負担が増し病気の進行も早めるので、日頃から体重の管理をしっかりしましょう。
かかりやすい犬マルチーズ、プードル、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、シー・ズー、キャバリアなど。
2008年02月07日
拡張性心筋症
犬の心筋症とは、心臓を動かす筋肉が正常に働かなくなることで、血液が全身に行き渡らなくなる心臓病です。
犬の心筋症は、大きく分けると拡張性心筋症と肥大性心筋症があり、多くの場合は拡張性心筋症です。
原因発症の殆んどが純血種であるので、遺伝性要因が強く疑われていますがはっきり解明はされていません。
心臓を動かす心筋の異常により、心臓の収縮力が低下する病気です。収縮力が低下すると、全身へ送られる血液量が減少して、心臓内に血液が貯まることになります。その結果心臓が拡張し、見た目では心臓肥大が起こります。
若齢〜中齢(4〜7歳位)での発症が多く、雌より雄で多く見られます。
最近、L−カルニチン(アミノ酸の一種で脂肪の代謝に関与)を補給すると改善することか分かり、L−カルニチンの欠乏ではないかとの説もあるようです。
特にコッカースパニエルでは、タウリンとL−カルニチンの欠乏が原因であると言われています。
症状心筋症を発症しても、初期段階では特に症状は現れません。
進行するにしたがって、腹水がたまってお腹が膨れるほか、肺水腫などによって咳や呼吸困難等の症状が現れます。
更に、急に歩けなくなる、不整脈が起きる、食欲不振、元気がなくなる、失神する等の症状が見られ、最悪の場合には突然死することがあります。
治療法診断は、聴診等の身体検査から、レントゲン検査、心電図検査、心臓の超音波検査、場合によっては血液検査、心音図検査等によって行われます。
治療は、強心剤、利尿剤、血管拡張薬などの投与をします。
また、塩分の制限、ビタミンB群の補給、タウリン、L−カルニチンの摂取(人の研究では効果が示されている)等の食餌療法も必要となります。
運動の制限も必要ですが、肥満は心臓に負担をかけるので適度な運動は必要です。
進行性の病気で、治療で進行を遅らせることは出来ても完治は出来ません。投薬によって症状が落ち着いた場合でも、治療は継続して行います。
それでも、残念ながら予後はあまり良くなく、延命できても1〜2年以内に死に至るケースが殆んどです。
予防法予防法はありません。
遺伝が疑われる病気ですので、この病気を発症した犬を交配に使用しないことが大切です。
かかりやすい犬スパニエル種(特にスプリンガーとコッカースパニエル)、グレート・デン、
ドーベルマン・ピンシャー、アイリッシュウルフハウンド、セントバーナード、
ボクサー、アフガンハウンド、ニューファンドランド、オールド・イングリッシュ・シープドッグ等、大型犬種に多い
2008年02月06日
大動脈弁狭窄症
大動脈弁の部位が狭くなって、血液が流れにくくなる病気です。
原因大動脈弁狭窄症は、代表的な犬の先天性心疾患の一つです。
全身に血液を送り出す大動脈(心臓から血液を送り出す大きな動脈)の内側が狭くなるために起る疾患です。
大動脈弁狭窄が起きると、身体の他の部分に血液を送り出す役目をする心臓はそのポンプの動きを速く強く行われなければならなくなり、無理な負担が掛かることで様々な症状があらわれます。
症状狭窄(狭くなっている部分)の程度により、症状には軽重があります。
ごく僅かしか異常が認められない場合には、心雑音がある以外殆んど無症状な場合もあります(大動脈弁の狭窄部を速いスピードで血液が流れることにより、心雑音が聞かれます)。
大動脈へ行く部分が狭くなるにつれ、疲れやすい,一定以上の運動に耐えられないなどの症状に始まり、突然の失神や不整脈、心不全などの様々な症状がでます。重度の場合は、突然死に至る場合もあります。
治療法診断は、レントゲン検査、心電図検査、超音波検査などにより行われます。
確実な外科的治療法はありません。
一般に遮断薬(不整脈等の心臓の薬)を服用して、症状の緩和を図ります。
中〜重度のものでは、運動制限も必要になります。
かかりやすい犬ニューファンドランド、ゴールデンレトリバー、ロットワイラー、ボクサー、サモエド、ジャーマンシェパード、ブルドッグ、グレートデーンなど、一部の大型犬に多いと言われています。







