呼吸器の病気

2008年03月07日

肺水腫

犬の肺水腫とは


 肺水腫は、肺の末端の細気管支や肺胞などに水がたまり、肺がむくむ病気です。
 肺水腫は他の病気の合併症として起こる病気で、単独で発症することはありません。


原因

 肺水腫は、他の病気の合併症として起る病気で、大きくは心臓の障害が原因で起こる心臓性の肺気腫と、それ以外の原因で起こる非心臓性の肺気腫に分けられます。

 心臓性の場合、僧帽弁閉鎖不全症などの心臓の障害によって血液の循環に異常が起こり、血液が肺にたまり、肺にある血管の血圧が高まります。その結果、肺の気管や肺胞の間の部分に漏れ出した血液の成分が肺胞(酸素と二酸化炭素の交換をする組織)に溜まり、肺水腫が発生します。
 僧帽弁閉鎖不全症による肺水腫は、特にパグやシーズー、ペキニーズ、ブルドッグといった短頭種の小型犬に多くみられます。

 非心臓性の場合、気管支炎や肺炎などの肺の炎症疾患のほか、他の病気の治療中に多量の点滴をおこなった場合や刺激性のガスの吸入、低酸素症など、様々な要因があげられます。


症状

 肺水腫の主な症状は、咳や呼吸困難です。
 原因となっている病気や初期・末期によって症状は違います。

 症状が軽いうちは、興奮あるいは運動後に軽い咳や速い呼吸、呼吸困難の症状があらわれます。
 症状が重くなると、ゼーゼーという呼吸や浅く速い呼吸安静時でも続く、一晩中咳が止まらないなどの症状が現れます。少しでも楽に呼吸するために、がに股のように前足をつっぱった状態や座ったままでいることが多くなります。また、水様性あるいは血様性の鼻汁が出たり、チアノーゼ(舌が青紫色になる)の症状が出たりします。
 全身に循環する血流が減って貧血状態になり、そのまま衰弱して死に至ることもあります。


治療法

 心臓や肺の聴診、X線検査、心電図や血液検査により肺水腫かどうかを診断します。また聴診で、呼吸に合わせて水が移動する音がします。

 重度の呼吸困難の場合は酸素吸入を行います。
 肺に溜まった水を尿として排泄させるため、利尿薬の投与等の内科療法を行います。
 また、うっ血性心不全の場合はさらに気管支拡張剤や強心剤などを投与。ショック、アナフィラキシー、中毒などが原因の肺水腫には副腎皮質ホルモンの注射。アレルギー反応には抗ヒスタミン剤を投与するなど、各原因に対応した治療を行います。


予防法

 肺水腫は他の病気の合併症として起こる病気なので、それだけを予防する方法はありません。
 早期発見・早期治療のためには、上記のような症状がみられたらすぐに動物病院へ連れて行き、心臓に障害がないか検査を受けましょう。



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2008年02月23日

横隔膜ヘルニア

犬の横隔膜ヘルニアとは


 横隔膜とは、胸腔(肺や心臓などが入っている)と腹腔(消化管や脾臓、泌尿生殖器などが入っている)を隔てる膜のことで、主に呼吸を補助する働きをしています(ここが痙攣すると「しゃっくり」がでます)。
 横隔膜ヘルニアとは、この横隔膜に穴が開き、腹腔の臓器が胸腔内にはみ出してしまう病気です。


原因

 原因は、2つありますが、殆んどは外傷性の原因によって起きます。
 
 外傷性の横隔膜ヘルニアは、交通事故や高いところ(ベランダや窓など)からの転落、あるいは蹴られたことなどにより、腹部に強い圧力が加わり横隔膜が破れて、腹腔内臓器が胸腔内に入り込むことによって発症します。
 事故の直後から呼吸困難などの症状が現れることもありますが、怪我をして、その怪我が治ってしばらくしてから症状が出ることもあります。
 
 まれに、先天的な横隔膜ヘルニアもあります。これは、横隔膜の一部または全域が産まれながらにして欠損していて起ります。なかには、呼吸困難から成長できずに死んでしまう場合もあります。 


症状

 外傷性の横隔膜ヘルニアの場合、損傷の軽重によっても症状は違います。
 ヘルニア孔(傷口)が小さく臓器の脱出が軽度の場合は、軽い呼吸速拍(呼吸が速くなる)や食欲不振などの軽い症状しか見られないこともあります。 

 横隔膜の損傷が大きく多量の臓器が胸腔内に入り込んだ場合は、呼吸困難、チアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色になる状態)、起立困難、体温低下、ショック状態などの重篤な症状が現れます。
 また、外傷性の場合、横隔膜の損傷のほかにも裂傷や骨折を伴っていることが多いです。

 先天性横隔膜ヘルニアでは、症状はゆっくりと現れ、徐々に悪化することが多いようです。多くの場合、生後1ヶ月位から浅く速い呼吸が現れます。


治療法

 聴診や胸部X線検査などで診断を行います。

 治療は、横隔膜の欠損部を元の正常な状態に戻す外科手術によって行われます。
 呼吸の状態が悪かったり、ショック症状を起こしている場合は、少しでもその状態を改善してから手術を行います。

 重症例では、術中および術後に死亡する可能性も少なくありません。しかし、手術が順調にいった場合の予後は良好です。

 先天的横隔膜ヘルニアについては、手術で死亡する例が多いので慎重な対処が必要です。



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2008年02月15日

気管虚脱

犬の気管虚脱とは


 気管虚脱とは、気管が変形した為に咳や呼吸困難が引き起こされる、呼吸器疾患です。
 中高年の小型犬や短頭種に多い病気です。


原因

 気管は通常、その周囲を軟骨や筋肉が取り巻いていて、呼吸をしやすいように筒状の形をしています。しかし、気管虚脱になると、その気管が押しつぶされたような形に変形して、正常な硬さや弾力もなくなり、呼吸をする時に咳や呼吸困難を起こしてしまうのです。

 主な要因は、次の3つです。

・遺伝的要因
 産まれた時から、先天性の気管の異常があった時。

・肥満、または短頭種の犬
 肥満になると、気管の周りを取り巻く脂肪が気管を圧迫するため、気管虚脱の発症率が高くなります。
 また、短頭種の犬はもともと鼻の穴が狭く、さらに首や胸がぎゅっとつまった体型なので強く呼吸をしないといけないことが多く、そのために肥満の犬と同様に常に胸部に負担がかかりやすい状態にあります。

・呼吸器疾患・心臓疾患の影響
 心臓疾患や慢性気管支炎など、別の病気による咳や過呼吸が原因となって、気管虚脱を発症することもあると考えられています。


症状

 気管虚脱の主な症状は、呼吸に合わせて出る「アヒルの鳴き声」のような、乾いた感じの空咳です。苦しくなってくると舌を巻くようにして呼吸します。
 咳が苦しくなるほど、犬は懸命に呼吸をして酸素を取り込もうとするため、気道内の通常の気管部分と気管虚脱部分の酸素圧差が広がり、よけいに苦しい状態となってしまいます。

 重度の呼吸困難が続くと、舌が黒紫色になりチアノーゼ(酸素欠乏状態)となり、この状態が長く続いて治療が遅れると、失神して倒れたり、救命できても脳や肺に回復不能な障害を残してしまう場合があります。


治療法

 X線検査などによって診断が行われます。

 治療は、多くの場合内科的療法が取られ、気管支拡張薬、副腎皮質ホルモン、抗生物質等の投与によって症状をコントロールしていきます。
 しかし、一度変形を起こした気管は元に戻らないため完治は出来ず、生涯治療を続けていくことになります。

 また、内科的治療と同時に、運動の制限や食餌療法による肥満の解消、高温環境の回避など、咳のきっかけとなるものや呼吸器への負担を減らします。
  
 外科的療法として、つぶれた気管の周りにコイルを巻く手術法もありますが、高齢犬であれば手術の負担が大きく、合併症が起こりうる大変難しい手術です。


予防法

 遺伝的要因や老齢による気管の変形がきっかけで発症することが多いため、必ず予防できる病気とは言い切れません。しかし、咳のきっかけとなる呼吸器系や心臓系の予防、肥満などによる気管への負担を少なくすることで、発症の可能性を少なくすることはできます。

・食餌療法で肥満を解消することで呼吸器への負担を減らしましょう。

・夏の蒸し暑い時期には特に気をつけましょう。エアコンなどで室内の温度を調節したり、過度の運動や興奮などに気をつけましょう。

・散歩中の首輪は気管部分を直接圧迫するため、咳が出る場合は首輪をやめて胴輪(ハーネス)に変えましょう。


かかりやすい犬

 中高年期で肥満気味の小型犬(チワワ、ポメラニアン、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、トイ.プードルなど)や短頭種犬(パグ、シーズー、ポメラニアン、ペキニーズなど)に多いと言われています。


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